電子基板

はんだ種類の違い徹底解説、鉛フリーと共晶で品質差が出る理由

はんだ種類の違い徹底解説、鉛フリーと共晶で品質差が出る理由

今日ははんだの種類、特に鉛フリーと共晶はんだのことについて、なぜ品質差が出るのか、そしてどのように選ぶべきかを知りたかったので、いろいろ調べて勉強を進めてみました。はんだ付けはさすがに奥が深く、その選定がいかに重要で、最終的な製品品質に直結するものだと感じた次第です。みなさんのはんだ選定についての参考になれば幸いです。

「どのはんだを選ぶか」で結果が変わる懸念について

同じ回路であっても、はんだの選び方で仕上がりが変わるという指摘があることを知りました。試作で問題なく稼働したにもかかわらず、量産で歩留まりが低下した、リワークでパッドを痛めてしまった、熱に弱い部品が破損したといった事象の裏側には、はんだ種別とプロセス条件のミスマッチが潜んでいるケースが少なくないようです。

情報を断片的に捉えていると「とりあえず鉛フリーで」と判断されがちな傾向があるようです。私自身が様々な技術資料やメーカーの情報を調査した結果、結論はシンプルにまとまることが理解できました。用途に合わせて選定しないと手戻りのリスクが高まるようです。本記事では、鉛フリーと共晶(きょうそう)を軸に、背景、特性、価格、注意点、メーカーまで体系的に客観的視点で整理してみました。

前提整理:はんだは材料ではなく“プロセス”を決める要素と考えられています

はんだメーカーの技術文書を読むと、はんだは単なる接着剤ではなく、金属間化合物(IMC)を形成し、電気的・機械的に接合する重要な役割を持つと説明されています。融点、濡れ性、酸化挙動、フラックスとの相性が、リフロープロファイルや手はんだの作業性に直結する傾向があるとのことです。

  • 共晶はんだ(Sn63Pb37):融点183℃。固液共存域がなく、シャープに溶けて固まる特性があるとされています。
  • 鉛フリーはんだ(SAC系:Sn-Ag-Cu):代表的なものはSAC305(Sn96.5Ag3.0Cu0.5)で、IPC(Association Connecting Electronics Industries)の資料でもこの組成が標準として挙げられており、融点約217℃とされています。

結論:規制・部品耐熱・量産条件の3点での選定が推奨されます

選定の基準として、①RoHS指令などの規制対象であるか、②部品の耐熱限界と基板仕様、③量産時の設備能力、の3点が挙げられるとされています。規制対象であれば鉛フリーはんだが基本となることを理解しています。一方、試作・特殊用途・リワーク中心で規制外の案件であれば、共晶はんだが有利になる場面も依然として存在すると考えられます。

鉛フリーはんだのメリット・デメリット

メリット(SAC系の強みとされる点)

  • RoHS指令(特定有害物質使用制限指令)に対応しており、現在の市場要件を満たせる点が大きいと感じられます。
  • メーカーの信頼性試験データを見ると、高温環境下での機械強度が比較的高い(クリープ耐性に優れる)とされている点もメリットです。
  • 業界標準化が進んでいるため、多くの量産ラインで標準的に採用されており、安定した再現性が取りやすい傾向にあるようです。

デメリット(現場で課題となりやすい点)

  • IPC-J-STD-001などの標準規格を参照すると、融点が高く、一般的にリフローのピーク温度240℃前後が必要となるため、部品や基板への熱ダメージが増加しやすいという課題があるようです。
  • 複数の技術論文や現場の報告書で指摘されているのですが、濡れ性が共晶はんだより劣る傾向があり、未濡れやボイドといったはんだ不良のリスクが増加する可能性があると指摘されています。
  • 特に純錫めっき部品との組み合わせでは、ウィスカ(錫ウィスカ)発生のリスクがあるため、JESD22-A121などの規格に沿った対策が必要になるケースがある点も注意が必要だと感じられます。
  • 銀(Ag)を含むため、共晶はんだと比較して材料コストが比較的高くなるという経済的な側面もあるとのことです。

共晶はんだのメリット・デメリット

メリット(今も選択肢となる理由)

  • 共晶はんだ(Sn63Pb37)は、その組成特性から融点183℃と低温で溶融するため、熱に弱い部品へのダメージを最小限に抑えられると技術資料で確認できます。
  • 多くの経験豊富なエンジニアの方々の意見を聞くと、濡れ性が非常に良く、手はんだやリワーク作業での作業性が高い傾向にあるため、微細な作業や修正がしやすいとされています。
  • 固液共存域がないため、固化がシャープに進み、はんだフィレットの形成が明確で外観検査がしやすい点もメリットとして挙げられています。
  • 鉛という比較的安価な材料を含むため、材料コストが比較的低く抑えられる傾向があることも、経済的なメリットだと感じられます。

デメリット(制限される理由)

  • 最大のデメリットは、EUのRoHS指令(特定有害物質使用制限指令)により、一般民生用電子機器では原則として使用が禁止されている(医療機器や一部の産業機器などの例外用途を除く)点だと理解しています。
  • 一部の技術レポートでは、高温環境下での信頼性、特に熱疲労寿命において、鉛フリーはんだと比較して不利になる可能性があると指摘されているのを見かけました。

なぜ鉛フリーが主流になったのか(背景と要因)

歴史的背景によると、2006年に施行されたEUのRoHS指令(特定有害物質使用制限指令)が、鉛などの有害物質の使用を制限したことが、この大きなシフトの主要因だとされています。これにより、電子機器の量産は鉛フリーへと大きくシフトしたという歴史があります。その結果、J-STD-006などの標準規格に沿ってSAC305を中心に標準化が進み、はんだ付け設備やリフロープロファイルも鉛フリーを前提として最適化される傾向にあるようです。

価格感の違い(材料+工程での評価)

材料単価を比較すると、銀(Ag)を含むSAC系鉛フリーはんだが、共晶はんだよりも高価になる傾向があるようです。ただし総コストは材料費だけでは決まらないとされています。鉛フリーはんだは高温プロファイルを必要とするため、消費エネルギーコストの増加や、熱ダメージによる歩留まりへの影響を考慮する必要があると感じられます。一方、共晶はんだは初期費用を抑えやすいとされていますが、規制外用途に限られるという制限があります。

  • 共晶:材料自体が安価で、かつ低温で扱えるため、特に試作やリワーク作業においてコストと作業性の両面で有利になる傾向があると感じられます。
  • 鉛フリー:材料は共晶はんだに比べて高価で、高温プロファイルを必要としますが、現代の量産ラインにおいては標準化が進んでおり、安定した品質管理と歩留まり確保の点で有利だと理解しています。

使い分けの実務ポイント(手戻りを防ぐ判断軸)

SMT量産では鉛フリーを前提に設計することが推奨されるか

量産においては、鉛フリーを前提として部品選定とプロファイル設計を行うことが基本だとされています。部品メーカーが提示する耐熱仕様(MSL:Moisture Sensitivity Level、ピーク温度)と基板の熱容量を十分に踏まえ、プリヒート、ソーク、ピーク、クーリングといったリフロープロファイルを最適化することが、IPCの推奨事項でもあります。

試作・リワークでは共晶を選ぶメリットがあるか

共晶はんだは低温で扱いやすいため、試作段階でのパッド剥離リスクや、デリケートな部品への熱ダメージを最小限に抑えられるというメリットがあることを、多くの技術者が指摘しています。規制外の開発用途や評価段階においては、合理的な選択肢になり得ると考えられます。

深掘り①:SAC305と他SAC合金、何が違うのか

問い:SAC305が標準と言われる理由は何だと考えられるか。

定義:SAC305はSn96.5Ag3.0Cu0.5という組成で定義されており、これはJIS規格やIPC規格でも確認できる標準的な配合です。Ag量を増やしたSAC405(Ag4.0)なども存在しているようです。

データ:千住金属工業や日本アルミットなどの主要メーカーの技術資料を比較すると、Ag量が増加すると機械的強度が向上する一方で、材料コストが上昇し、はんだ接合部の脆性が増す傾向があることが示されています。

現場例:特に車載用途や、高い振動・衝撃に曝される環境では、はんだ合金の選定が疲労寿命に大きく影響するため、一律にSAC305で固定するのではなく、ISO/TS 16949などの品質基準に基づき、用途に合わせて最適な合金に見直されるケースが多いとされています。

結論:標準はSAC305とされていますが、用途によって合金選定を変更する余地があると考えられます。

深掘り②:フラックスの違いが不良率を左右するのはなぜか

問い:はんだ種別よりフラックスの影響が大きくなる場面はあると考えられるか。

定義:フラックスは、はんだ付け時に金属表面の酸化膜を除去し、はんだの濡れ性を改善する重要な助剤として、JIS Z 3283などで定義されています。RMA(ロジン活性)、RA、No-cleanなどが存在します。

データ:弘輝(KOKI)やタムラ製作所などのフラックスメーカーの技術資料を見ると、フラックスの活性度が高いほどはんだの濡れ性は向上するものの、はんだ付け後の残渣管理がより重要になると指摘されているのを確認しました。

現場例:複数の実装現場の事例を調べたところ、No-cleanタイプのフラックスを使用した際にボイド(はんだ内部の空隙)が増加し、RMA(ロジン活性)タイプのフラックスに変更することで、ボイドが大幅に改善されたケースがあるとのことです。ただし、その場合は洗浄工程の追加が必要になることも考慮すべき点だと感じられます。

結論:合金の種別だけでなく、フラックスの選定も歩留まりに直結する傾向があると言えそうです。

代表メーカーと特徴(日本中心)

  • 千住金属工業:調べた限りでは、SAC系鉛フリーはんだのラインナップが非常に豊富で、特に車載向けなどの高信頼性が求められる分野での評価データが充実していると理解しています。
  • 日本アルミット:手はんだ用ワイヤは、その優れた濡れ性と作業性から、多くのエンジニアから高い評価を受けていると、ユーザーレビューやフォーラムでよく見かけます。
  • 弘輝(KOKI):はんだペースト、フラックスの両方で高い総合力を持つと評価されており、特にペーストの印刷性やリフロー安定性に特徴があると技術資料で確認できます。
  • タムラ製作所:車載や産業用途での長年の実績があり、製品の信頼性データの厚みが特徴的だと、同社のウェブサイトや発表資料から感じられます。
  • エー・エス・エム(AIM等の海外含む):特殊な合金組成のはんだや、ボイド発生を抑制する低ボイド材料など、特定の課題解決に特化した選択肢を提供しているとされています。

現状の課題:鉛フリー=正解という画一的な判断がもたらす影響

複数の実装工場や製造現場の声をまとめると、実際の現場では「とりあえず鉛フリーで」という画一的な判断が下されるケースが多いと指摘されているようです。多くの製品においてそれは適切な選択と言えますが、試作や熱に弱い部品、リワーク中心の工程においては、必ずしも最適とは限らないようです。この点を考慮せずに進めると、ボイドの増加、未濡れ、部品への熱ダメージ、歩留まりの低下といった形で影響が出るリスクがあると考えられます。

一つ一つは小さな差異であっても、量産フェーズに移行するとコストや品質に段階的な影響を及ぼす可能性があると言われています。選定の最適化が、最終的な成果に差を生む領域だと感じられます。

まとめ:条件を整理し、材料とプロセスをセットで検討することが推奨されます

まずは規制、部品耐熱、量産条件の3点を整理し、はんだ合金とフラックス、プロファイルをセットで検討していくことが推奨されています。試作段階では共晶を使用して評価を行い、量産段階で鉛フリーへと最適化していくといった、段階的な進め方も有効な手法の一つと考えられます。

FAQ

鉛フリーは必須ですか

調べた限りでは、一般民生用途の電子機器では、RoHS指令により原則として鉛フリーはんだの使用が必須とされています。ただし、医療機器や軍事用途など、特定の例外用途においては、その信頼性や特殊な要件から共晶はんだが引き続き使用される場合があることも確認されています。

共晶は完全に使えないのですか

はい、規制対象外の分野、例えば一部の産業機器や航空宇宙分野、あるいは社内での試作や開発、リワーク工程では、共晶はんだが現在も選択肢として使用されるケースがあるとのことです。最終的には、用途の特性と適用される規制に基づいて慎重に判断される傾向にあるようです。

リフロー温度はどれくらい違いますか

一般的なリフロープロファイルを比較すると、共晶はんだの融点は183℃付近であるのに対し、鉛フリーはんだ(SAC系)はピーク温度が240℃前後となるため、約30〜50℃程度の温度差があることが確認されています。

不良が増えた場合は何を見直すべきですか

はんだメーカーや実装技術の専門家の意見を総合すると、不良が増加した場合は、はんだ合金の種別だけでなく、使用しているフラックスの種類、はんだペーストの印刷条件、リフロープロファイル、さらには基板設計(ランド形状や表面処理)といった、プロセス全体を総合的に見直すことが強く推奨されています。

メーカーはどこを選べばいいですか

メーカー選定については、自身の用途に応じた選定が推奨されるとされています。例えば、車載向けなどの高信頼性が求められる用途であれば、信頼性データや実績が豊富なメーカーを選ぶべきですし、手はんだ作業が中心であれば、濡れ性や作業性に定評のあるワイヤを提供しているメーカーを選ぶといった形が基本だと考えられます。

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